メールアドレスの取得は、オンラインでサービス提供をするビジネスばかりでなく、店舗ビジネスでも有効なことは広く知られています。
物販店舗でも、サービス提供店舗でも、顧客のセグメントに沿った、きめ細やかなメール配信が、顧客のリピートを促す鍵です。
この記事では、「初来店」のタグがついたリストに対して、どんなメールを、どのタイミングで、どのぐらいの期間の設定で、1連のメール配信を組むといいか、ご提案しています。
初来店者に対して、一連のメールを流すことで、再来店を促すばかりでなく、再来店までの期間を短くする、次のアップグレードを促す、といった効果を見込めるからです。
なお、この記事では、メール配信プラットフォームとしてMailchimpを利用すると想定して、配信のきっかけを案内しています。
目次
初来店者のメールアドレスをどう獲得するか
店頭でメールアドレスを取得する必要があります。
初来店かどうかわからない人に対しても、来店者すべてに「メールアドレス登録いただいてますか」と質問してみましょう。
メールアドレスを登録することで得られるメリットをご案内すると、メールアドレスの登録作業をその場でしてくださります。
お渡しするメリットの例
・その場で500円引きでお会計することができる
・ポイントが貯まる(初回ポイントが大きい、その後ご来店毎、ご利用金額毎などで貯まる)
・素敵なプレゼントを進呈(ポーチとか、ミニタオルなど、欲しくなるちょっとした小物)
メールアドレスを登録してもらうことで、「お得な情報を定期的にお送りします」だけでは、弱いです。
理由は、「今後、得られるかもしれない、現時点では不確定なこと」を呈示されていて、いま忙しいのに時間を割く理由がない、と思われてしまうからです。
なので、「いますぐ得られる良いこと」を、メールアドレスと引き替えに手にしていただけることをご提案するのがポイントです。
ちなみに、メールアドレス登録は、あなたの事業で設定しているメリットを享受できるランディングページを作成し、そこから登録してもらうと、いいでしょう。
ランディングページ経由だと、タグも、自動でつけることができます。
タグは、なんでもいいです。
初めてご来店ですか?と必ず聞く
中には、メールアドレスだけ先に登録していたけれど、来店は初めて、という方もおられることが想定できます。
たとえば、ホームページで、リードマグネットを利用されていたとか、オンラインイベントに参加されていたといった方です。
なので、「ご来店は初めてですか?」と必ず質問させていただきましょう。
2回目のご来店の場合だと、「メールアドレスはもうご登録いただいてますか?」と案内し、もしまだだったら、1度目のときと同じようにメールアドレス登録のメリットを再度ご案内で来ます。
もし、リードマグネットを先に利用されていて、メールアドレスはご登録いただいているけれど、来店は初めてという場合でも、同じランディングページで特典を受け取ってもらってください。
理由は、ランディングページを利用いただくと、特典を「いますぐ」享受いただけるからです。
お客様にとって面倒ですが、特典でメリットもご案内しているので、応じてくださる方も多くなります。
また、店舗スタッフのオペレーションでは、「あとからその人を特定してタグ付けする」作業をするよりも、楽になるので、店舗運営上こちらの方をおすすめします。
これらの質問と、お客様に特典を案内することをルール化しておくことで、この後行う、オートメーション設定の起点を利用することが可能になります。
初回ご来店者をタグで特定してオートメーション設定する
初回ご来店の方に「初回ご来店者様への一連のメール」配信を自動で流す、オートメーションの設定をしておきましょう。
Mailchimpでは、カスタマージャーニーの機能を利用します。
Mailchimpのカスタマージャーニーでは、あなたがランディングページで付けたタグを起点にして配信を設定します。
配信間隔はどうするか?
メール配信の間隔は次のような期間を設定するのがおすすめです。
配信1通目は、来店の翌日。つまり、登録から1日後に配信。
配信2通目は、ご来店から1週間後。つまり、登録から7日後。Mailchimpなら1weekで設定できます。
配信3通目は、ご来店から1カ月になるちょと手前。つまり、登録から20日程度で設定。
1通目の内容
1通目は、ご来店の感謝を述べるとともに、ご利用のメニューのその後の様子うかがいや、ご購入の商品に不具合がなかったかどうかを尋ねる文面にします。
ご来店の様子伺いなり商品のことを尋ねる目的は、「自分は良いことにお金を払った」という体験の追認をしてもらいためです。
もちろん、お店側から、お客様のその後のことを心から気遣っているからこそ書きたい内容だというのもあります。
接骨院を想定した文例をご案内します。
文例
件名 その後いかがですか
昨日は、ご来店ありがとうございました。
お帰りいただいてから、その後おかげんはいかがでしょうか。
昨日うかがった様子から、心配でメールさせていただきました。
軽くなったよ、と言っていただけるならいいのですが、もし、「より痛くなった」ということがあったら、すぐにお電話ください。
誠心誠意、対応させていただきます。
2通目の内容
2通目はご来店から1週間後に配信されます。
そろそろ、お店で買ったこと、お店へ行ったことさえ忘れ去っている時期です。
でも、もし、居心地の悪い想いをしていたら、早めに手を打ってあげる必要もあります。
また、もし気に入っていたら、すごくルンルンしておられる時期でもあります。
いずれにしても、「まだ1週間」なので、購入体験なり、サービスを受けた体験を、より向上させるアイデアをお伝えするチャンスとして利用しましょう。
具体的には、快適に利用するための販売のプロからの利用の秘訣、快適に日常生活を送るサービス提供側からの日常ケアの秘訣などを、お伝えしましょう。
モノならば、隠れた便利機能のご案内や、他の利用者の使い方例などがあれば、より利用度を高めてもらえる方向になります。
サービス提供した後ならば、そのサービス利用効果を維持し、日常生活をより快適に送るための、プロからのセルフケア方法の伝授が、喜ばれるでしょう。
ここでも接骨院を想定した文例をご案内します。
文例
件名 毎日つづけていますか?
その後、毎日のセルフケア習慣は続けていただいていますか?
お伝えした1分ケアは、毎日、いつでも、どこでも、思い出したらすぐ行動して、続けていただけることを願って開発した、独自のケア方法です。
1分ケアだから、効いてるかどうかわからないなんて言わないでくださいね。
1分ケアも、毎日つづけていただくことで、身体はちゃんと応えてくれます。
次にお会いしたときに、「続けてたよ」という声を、お聞きできることを楽しみにしております。
もし、「忘れちゃったわ」というときは、メールでお尋ねください。
あらためて、あなたのケアを、メールでお返事させていただきます。
3通目の内容
3通目はご来店から1カ月弱のスパンで配信されます。
もう、1カ月前のことなんて、忘却のかなたです。
でも、メールを送って思い出してもらうことで、次の来店サイクルを早める効果を生みだします。
では、どうやって思い出してもらうか。
「お客様の声」をお願いするメールをお送りしましょう。
商品のレヴューをいただくのでもいいです。
Googleビジネスのページにレヴューをいただくのもいいですね。
レヴューを書いていただいたら、次の来店時になにか特典があることをお伝えしましょう。
わたしは、あまり割引券を発行したくないので、なにかもらって嬉しい物や、特別なちょっとした裏サービスだとかをご案内することをおすすめします。
・セルフケアで使用する小物や使い捨ての用品
・ロイヤルカスタマー限定のイベント参加券
・販売開始前オリジナル商品のお試し品
など
ここでも接骨院を想定した文例をご案内します。
文例
ここでも接骨院を想定した文例をご案内します。
件名 お願いがあります
こんにちは、〇〇さん
毎日、快適に楽しくお過ごしでしょうか。
私はいつも、あなたのお役に立つ最高の手技サービスを提供したいと考え、日夜努力しています。
そのために、お客様でいてくださるあなたが、本当はどうしてほしかったのか、とか、その後どうなったかを知ることがとても大切だと考えました。
そこで、あなたにお願いです。
私の手技やアドバイスに対する、あなたのご意見、ご感想を、「お客様の声」としてお寄せいただけませんか?
例えば、
・来る前はどんな風につらかったか? お帰りになった後、どんなふうに楽になったか。
・毎日のケアをつづけるうちに、どうなったか?
もしあなたが、私のサービスで気に入らないものがあっても、辛口コメントをお寄せくださるのも歓迎いたします。
私はあなたからの声を真摯に受け止め、次の改善や制作に活かしたいと考えています。
わたしのサービスや、アドバイスを今後よりよくするために、お客様の声をお寄せいただくための返信のお時間を少しいただけませんか?
あなたのお考えを、このメールに返信してください。
簡単なメッセージで構いません。
メールを読んでいただき、ありがとうございます。
今日も、良い一日をお過ごしください。
3通のメールの文面作成の際に気を付けたいこと
3通は、自動で配信されます。
顧客の個別の事情にまでは、寄り添えません。
「昔は、全部、手書きでお葉書を出してたんだけどね」と、美容室でも、物販店でもおっしゃります。
手書きだったら、「何を買ったか」「何のメニューをご利用になったか」を、メモや履歴からおって、個別にコメントを書いてゆくこともできますが、メール配信プラットフォームの利用では、それがかないません。
それでも、何も送らないことと比べたら、たとえ自動配信であっても、送るほぐあ、お店に対する愛着度が高まります。
なぜかというと、接触回数が増えるからです。
だから、たとえオートメーションの配信であっても、メール配信の設定をおすすめします。
オートメーションは、まあいわば、「作り付けの印刷のハガキを、機械的に送る」ようなものだと考えてください。
なので、次の2つの注意事項があります。
・季節感を出さない
・自動で配信されていることを悟らせない
季節感を出さないというのは、その理由はすぐご理解いただけますね。
いまは紅葉の時期だからって、「だんだん過ごしすい季節になってきましたね」という季節の挨拶の書き出しは、ダメです。
だって、もしかして、真冬の、バレンタインの極寒の時期に、読んでおられるかもしれないからです。
季節の挨拶での書き出しはやめて、相手を気遣う文章、メールの目的を最初にズバリ伝える文章から始めてみましょう。
また、自動配信であることを悟らせない配慮もしてください。
というのも、再来店いただくのが、平均だと、初回来店後平均は3か月後だとしても、もしかしたら、なにかの理由で1週間後に再来店いただいているかもしれないのです。
メールを受け取る人に、「あれ、わたし、1週間前のご来店とか言われてるけど、昨日行ったばかりだよ」とか思われたら、いい印象を残しません。
なので、起点が「初来店」で自動配信されるメールだとしても、「1週間前」とか「1カ月前」という言葉は使わないでおきましょう。
ハガキでやりたい、個別に文面をつくってほしい
うちは、ハガキをメインに、初来店者をリピート化させる定期お便りを出したい。
という場合、ハガキを送るための運用の仕方や、文面の作り方をも指導しています。
美容院で実績があります。
また、個別に文面をつくってほしいなどの導入アドバイスが欲しいご経営者様は、まずはMailchimp運用の個別ご相談をご利用ください。
新規顧客を、腕とトークだけで引き留める時代はおわりました。
メール配信なり、ハガキなり、ツールで仕組み化しましょう。
リピート客獲得の費用は、新規顧客獲得の広告費より確実に、リーズナブルです。