SWOT分析で、組織の脅威を特定する方法をこの記事でお伝えします。
SWOT分析においてなぜ脅威を特定するのか?
脅威を特定することは、外部リスクを軽減するためのガイドになります。
たとえば脅威とは、あなたの組織に厄介をもたらす外部要因のことを指します。
どんな厄介か?
・組織のルーティンである一日のプロセスが崩壊する。
・組織の業績全体を台無しにする可能性。
これらの脅威を特定することは、SWOT分析の重要な仕事です。
なぜなら、組織が直面しているリスクが理解できれば、そのリスクを軽減するための戦略を策定することができるからです。
脅威には、競争圧力、経済状況、技術的な混乱、経営環境の悪化、規制変更など、さまざまな原因があります。
あなたの組織にとって、次に、脅威がどこから現れるかわかりません。
だからこそ、組織は定期的に、外部環境を適切に評価することが重要になります。
潜在的な脅威が、組織に害を及ぼす前に、害を及ぼす可能性を発見することそのものが重要なのです。
脅威を特定するための方法のひとつに、市場調査があります。
また、業界動向や競合他社の動向に関するデータを収集することも含まれます。
脅威の例
競争圧力
競争圧力に直面している組織は、競合他社との差別化に苦戦しています。
市場シェアを、将来、失うリスクがあります。
また、組織の製品やサービスが、競合他社と類似している場合は、独自のセールス方法が酷似していたり、ポジショニングの差別化ができていない場合、競争上の脅威、経済情勢、不況やインフレなどの経済状況などに対して、自社のポジションやパフォーマンスが脆弱になる可能性があります。
業界動向
自社組織が特定の業界や市場に大きく依存している場合、その組織は業界内の競争上の脅威にさらされる可能性が大きくあります。
たとえば、その分野の景気後退に対して、自社の収支が脆弱になる可能性があります。
技術的混乱や遅れ
業界の技術動向についていくことができない組織にとっては、技術変化は脅威となります。
たとえば、より高度な技術で、製品やサービスを提供できる競合他社に市場シェアを奪われるリスクが否めません。
規制の変化
規制の変化に対応できない組織にとっては脅威となります。
たとえば、より環境に配慮した事業慣行を採用することを組織に義務付ける新しい法律が成立した場合、その組織は用件を満たすために苦労をすることになり、脅威にさらされる可能性があります。
結論として、脅威はSWOT分析の、特定すべき重要な要素というわけなのです。
脅威を特定し対処することは、組織の成功にとって不可欠です。
その理由のひとつは、定期的に脅威となる外部環境を評価することで、組織が受けるリスクを軽減するための戦略を策定することができること。
ふたつめは、脅威が損害を引き起こす前に、潜在的な脅威を特定し、対処することができること。
脅威を特定する方法
SWOT分析において脅威を特定する方法は、以下のとおりです。
脅威の特定は、外部環境のなかからみつけます。
業界市場と競合他社を考慮し、組織に影響を与える可能性のある潜在的なリスクと課題を特定します。
具体的には、組織が外部の脅威に対して、特に脆弱であると思われる領域を探します。
例えば、少数の主要サプライヤーへの依存や、収益源が少数の顧客に依拠しすぎていることなどがあげられます。
地政学的なリスクや気象の潜在的影響を検討する必要もあります。
政治的、経済的、社会的事象は、すべて組織に影響を与える可能性があるので情報収集は怠らないでください。
また、技術の潮流についても、目を離さないでください。技術は常に進化しており、それが組織に大きな影響を与える可能性が大きいです。
環境・社会的リスクの組織への潜在的影響も忘れないでください。
業界のニュースや動向をモニタリングしましょう。業界のニュースやトレンドは、組織に対する潜在的な脅威を示すことが多いため、常に最新の情報を入手するようにしましょう。
利害関係者からのフィードバックも脅威の特定の際に収集しましょう。利害関係者とは、顧客、従業員、株主、仕入れ先、協力企業が含まれます。そういった利害関係者に、組織に対する潜在的な脅威について意見を求めることも忘れないでください。
競合分析も行いましょう。競合他社は、市場のなかでどのようなポジショニングをとっているか、もしくは、とろうとしているかを、注視する必要があります。
これは、潜在的な脅威を特定し、リスクを見極めるのに役立ちます。
マクロ経済も見逃してはならない外部環境です。自社組織に影響を及ぼす可能性のある、マクロ経済、技術、その他の外部要因も、検討してください。
脅威を特定するための正しい質問
SWOT分析を通じて組織の脅威を発見するために必要な、具体的質問をみておきましょう。
組織にとって脅威となりうる外部環境の動向は何か?
組織のどの分野が外部からの脅威に対して最も脆弱か?
政治的、経済的、社会的な出来事は、組織とその機会にどのような影響を与えうるか?
組織は、どのような技術の進歩や混乱に注意すべきか?
どのような技術的進歩や混乱に注意すればいいか?その技術の潮流を、自社組織にどのようにかして機会として活用できないか?
規制、世論、その他の環境・社会的要因の変化は、組織にどのような機会をもたらしうるか? そういった社会的要因の変化は、組織にどのような機会をもたらすか?
潜在的なビジネスチャンスを見極めるために、組織はどのような業界のニュースや動向に注意すべきか?
潜在的な機会を特定するために、顧客、従業員、その他の利害関係者からどのようなフィードバックを集めることができるか?
潜在的な機会を特定するために、組織の競合他社をどのように分析できるか?
組織にとっての潜在的なリスクと機会を特定し、評価するプロセスは何か?
機会を特定する際、組織はどのような外部要因を考慮すべきか?
これらの質問は絶対的な決まりではありません。
あなたのSWOT分析の目的に基づいて、これらの質問を適宜修正してください。
事例紹介
組織の脅威を理解するためのブレーンストーミングが始まりました。
ホテルの成功に影響を与える可能性のある潜在的なリスクと課題について、 徹底的に検討することが重要なので、みな白熱しています。
まず、ホテルに影響を与える可能性のある、現在および将来の市場動向が議論されました。
観光業界はパンデミックによって大きな打撃を受けました。
ですが、当ホテルは回復の遅れがあるものの、間違いなくパンデミック終焉により、好い方向に向かうでしょう。
ホテルが直面するかもしれない外部の脅威や課題には何がありますか?
すぐ近くに新しいホテルが建設中です。
競合のホテルは、アメニティが充実し、モダンな外観になっています。
外部からのリスクや脅威に対する脆弱性についてはどうですか?
当ホテルは洪水が発生しやすい地域にあります。
洪水が起れば、ホテルが被害を受け、営業に支障をきたす可能性があります。
また、技術的な変化や混乱が、ホテルに及ぼす潜在的な影響についてはどう考えますか?
私たちは、オンラインでの露出とデジタル・ マーケティングにもっと力を入れる必要があります。
技術潮流としては、旅行の予約や計画をオンラインで行うことが好まれるようになっています。
私たちを撤退に追い込む可能性があるホテルはこの地域にありますか?
当ホテルから数キロ離れたところに、新しい高級ホテルがオープンしています。
より多くのアメニティを提供し、大きなプールとスパを備えています。
また、より良いテクノロジーを備えた、より近代的な部屋も提供しています。
その競合は、弊社ホテルと同じ顧客層をターゲットにしている様子です。
これは私たちが考慮しなければならないことです。
競合の脅威から脱するために、私たちは、競争力のある価格を提供し、顧客を惹きつけるためにオンラインでの露出をする必要があります。
また、競合他社との差別化を図る必要もあります。競合他社にはないユニークなコミュニティや体験を提供することができるかどうかを検討することが優位に働くでしょう。そのために、私たちのホテルが市場で優位にたっていること、当ホテルしかできないことを確認する必要があります。
私たち独自のセールスポイントは?それを顧客にアピールしてきているか?
私たちはこれらの情報をすべて取り入れ、ホテルの現状を好転させる計画を立てるために活用してゆきます。
実際の逸話、脅威を特定し書き出す
チームがあげた脅威のリストが書き上げられました。
ここであげた脅威は、無視することはできません。
まず、パンデミックによる観光産業の回復の遅れがあります。
当該地域すべてのホテルがパンデミックの影響を受けてはいますが、私たちはこの影響から抜け出す計画を立てる必要があります。
・近くに建設される新しいホテルを考慮する
・アメニティがより充実し、店舗はモダンな外観になっている。
・競争力を維持する必要がある。
・ホテルが洪水が起こりやすい地域にある
・オンラインの露出に重点を置いていない
・近くにオープンする、より低料金の高級ホテルが競争上の脅威になること。このホテルは大きなプールとスパ、より優れたITサービス技術をもっている。
取り組むべき脅威のリストができました。
あとは、それを克服するための計画を立てるだけです。
脅威を特定するまとめ
脅威を特定するための方法をみてきました。
あなたの組織にとっての脅威とは何でしょうか?
正しい質問や事例から、チームが協力してホテル事業の脅威を特定した質問やあげてきた項目も参考にしてみてください。
さあ、ここまでで、強み・弱み・機会・脅威の特定ができました。
次は、これらの特定した内容を元に、改善のための計画立案にむかいます。
4つの項目を分析して並べるだけでは、まだ終わりではないのです。