自社の「強み」は何かと問われたら、すぐ、出てくるものも沢山あるとおもいます。
もしあなたがWWOT分析で「強み」を書き出すときに、「もうこれ以上ないかな?」とおもったら、この記事がお役に立つでしょう。
この記事でお伝えすることは、あなたの事業のなかで競争上の優位である事項を理解し、今後活用してゆくためのステップになります。
目次
SWOT分析での「強み」とは
SWOT分析で、そもそも、「強み」とはどういうことがらを扱うのでしょうか。
強みがわかると、トレンドをうまく活用できたり、競争力を正しく理解し、競合との優位性を活用できたりします。
つまり、SWOT分析における強みとは、自社、もしくは分析体調となる事業の「優位性」のことを指します。
強みとは、基本的に、競合他社に対して優位に立つことができる、組織独自の特徴や能力のことなのです。
これは、組織が保有していて、その目的を達成するために活用できるリソース、スキル、属性すべての項目からあげてきます。
SWOT分析でよく間違われるのは、「絶対的に優位」なものを探そうとされる姿勢です。
もしくは、なにかとも比べずにただ漠然と「いいとよく言われる」ものを「強み」としてあげてしまわれることです。
でも、そうではありません。
SWOT分析は、比べるものがあってはじめて優位が浮かび上がってくるのです。
ここで、手順1の目標設定が大切なのがよくわかっていただけますでしょうか。
SWOT分析の世界では、組織の競争優位性と、その優位になっている領域を明確にするために、強みを特定することが重要なのです。
SWOT分析で強みを特定するには、内部要因と外部要因の両方を考慮します。
内部的な強みには、強力なブランド、熟練したやる気のある従業員、革新的な製品やサービスなどがあげられます。
外部的な強みとしては、好立地、忠実な顧客基盤、主要ステークホルダーとのパートナーシップなどが考えられます。
あなたの組織の強みを特定するための方法としては、そのパフォーマンスを競合他社と比較することがあります。
例えば、ある組織が、売上高や市場シェアで常に競合他社を上回っている場合、それはおそらく「強み」といえるでしょう。
さらに、顧客からのフィードバックや業界の賞も、組織の強みを示す有用な指標となります。
でも気を付けてください。
強みは必ずしも永続的なものではありません。
組織の強みは、内的要因や外的要因、たとえば技術の進歩や事業構造の変化などによって、時間の経過とともに変化する可能性があります。
だからこそ、組織は継続的にその強みを評価し、市場に適応させることが重要なので、SWOT分析も一度行ったら終わりというわけではなくなるのです。
もし、一度定義したものを、時代に即して変更してゆかないとなると、自動車が登場したときの、馬車のようになってしまうかもしれません。
強みにはどんなものがあるのか
組織が持つ強みには、たとえばどのようなものを拾ってくればいいのでしょうか?
あなたは、きっとそう迷われているとおもいます。
だから、いくつか例を挙げてみましょう。
・強固な財務基盤
強い財務体質を持つ組織は、新しい取り組みに投資するための資源と安定性を持っている可能性が高い。
また、不況を乗り切り、戦略的買収を行うことができる。
これは、寒い冬の日に、暖かい毛布をかけるのと同じようなものです。
・革新的な製品やサービス
革新的な製品やサービスを市場に投入してきた実績のある企業は、競合他社に対して競争上の優位性を持っている可能性が高いです。
これは、独自の技術、独創的なマーケティング戦略、あるいは強力な研究開発チームによるものかもしれませんね。
・強力なブランド
強力なブランドを持つ組織は、忠実な顧客ベースを享受する可能性が高いです。
これには、一貫したブランド・メッセージ、高品質の製品・サービス、好感度の高さなど、さまざまな要因があって、いまココがあります、
強いブランドとは、良い評判のようなものです。
・熟練したやる気のある従業員
熟練したやる気のある従業員がいる組織は、生産性と効率が高いことが一般的です。
この組織は、より生産的で、より効率的です。
そして、それが競争上の優位性につながっています。
これは、キャリア支援に協力的な企業文化、継続的なトレーニングや能力開発の機会、そして公正で競争力のある報酬制度などがこれにあてはまります。
やる気のあるチームと一緒に働くのが嫌いな人は、いないですよね。
もしあなたが、自分の強みを見つけるのに苦労するようでしたら、もう一度この記事に戻って復習してください。
SWOT分析の「強み」を特定するためのアプローチ
SWOT分析における強みを特定してゆきましょう。
組織独自の能力、スキル、リソースを、まずリストアップします。
リストアップするものには、物的資産、知的財産、人的資源、財務資源、競争優位性などが含まれます。
これらは、あなたの組織を競合他社から引き離し、優位に立てるようにするものです。該当するものは、すべてをあげてください。
これらは、いわば、あなたの組織の秘密兵器のようなものです。
ブランドイメージ、顧客ロイヤルティ、組織のポジティブな評判も、競争優位の強力な資源となり得ます。
顧客はあなたの忠実な相棒として、いつもあなたを助けてくれるからです。
また、内部プロセスとシステムもみわたしてみましょう。
効率的で、効果的に、よく組織化されている部分はありますか?
ステークホルダーとの関係はどうでしょうか。
従業員、顧客、サプライヤー、パートナーなどのステークホルダーとの関係をみわたしてみてください。
強力なは強つながりは、強みの場合があります。
過去の成功および達成も、強みのひとつにカウントされる場合もあります。
なので、過去の成功や成果を振り返ってみましょう。
これらをリストアップすることは、組織の強みに関する貴重な洞察を与えてくれます。
あなたの会社や事業の歴史の、ベストアルバムを、まず最初につくってみてください。
誰に相談するか?
ベストアルバムをつくる視点で、社内の利害関係者に最初に相談するといいでしょう。
たとえば、従業員、幹部、部門長などへの相談からはじめる、ということです。
彼らに相談することで、組織の強みに関する、彼ら自身の視点を収集します。
情報収集するなかで、あなたの組織が、競合他社より優れている、または上回っている分野や領域を探し出します。
たとえば、財務パフォーマンスがいいのか、顧客満足度がいいのか、製品品質がいいのか、または運営管理上効率がいいのか、といった観点です。
強みを探し出す視点
組織のもつ資産や、可能性、脳力はどうやって分析するのでしょうか。
これは、独自なものか、もしくは、複製が困難な資産か、という観点から探してください。
独自、もしくは、複製が困難な資産があれば、あなたの組織が市場において優位に立つことが可能です。
たとえば、知的財産、ブランドの評判、熟練した労働者の存在は、「独自、もしくは、複製が困難な資産」になり得ます。
これらは、宝探しのようなものです。
提供している価値は何か?
組織がもつ、市場に提供している価値は何かを、明確にしましょう。
いいかえれば、「企業の製品やサービスが市場で際立っている理由は何か?」ということを探すわけです。
さらに、あなたの組織は、競合他社が出せないような方法で、どのように顧客にその価値を提供しているのかも探してみましょう。
組織の強みを活かして弱みに対処する機会を探す
組織の強みを活かして、弱みに対処する、あるいは機会を活用する方法を探します。
例えば、財務基盤が強固な企業であれば、新技術への投資や事業拡大が可能かもしれません。
強みの情報を集めるための正しい質問
SWOT分析で組織の強みを理解するためには、まず強みを明確にするために、正しく問いかけることが大切です。
ここでは、SWOT分析で組織の傾向を明らかにし、理解するために必要でかつ具体的な質問をお伝えします。
・組織が競合他社と差別化するために持っている独自の能力、スキル、リソースを説明できますか?
・組織はどのようにして、市場における競争優位性を維持していますか?
・具体的な戦略や独自のセールスポイントはありますか?それらは、優位性に貢献していますか?
・組織の評判、ブランド、イメージ、顧客ロイヤルティは、組織の総合的な強さにどのように影響を与えていますか?
・強みの要因の影響を測定するために、使用できる具体的な指標やデータはありますか?
・組織の内部プロセスとシステムは、どの程度効率的ですか?
・組織やワークフローの面で改善すべき点はありますか?
・従業員、顧客、サプライヤーなど、主要なステークホルダーと組織の関係はどの程度強いですか。
・ステークホルダーとの関係を維持・強化するための具体的な取り組みや戦略はありますか。
・組織の過去の成功例や業績について、強みのヒントになるような例を示すことができますか?
・従業員、経営幹部、部門長など社内のステークホルダーは、組織をどのように認識していますか。
・ステークホルダーから提供された具体的なフィードバックや提案のなかで、組織のパフォーマンスを向上させるために利用できるものはありますか。
・どのような領域で、組織は競合他社よりも優れていますか。
・組織のパフォーマンスを測定するために使用できる具体的な指標やデータはありますか。
・組織独自の、あるいは再現が難しいリソースや能力は何ですか?
・組織のもつ資源や能力を守り、活用するための具体的な取り組みや戦略はありますか。
・組織が提供しているバリュー・プロポジションは何ですか?
・組織は、競合他社にはできない方法で顧客に価値を提供していますか?
・組織のバリュー・プロポジションの有効性を測定するための具体的な指標やデータはありますか?
例として、質問をあげてみました。
でも、これらの質問は、公式とまで言えるものではありません。
つまり、これらの質問は、あなたの組織の在り方に基づいて変更することができます。
次の事例紹介の項目を参考に、あなたがご自身の組織にたいして行う質問はどのようなものが適切かを確認してください。
事例紹介
地方のホテルの例のつづきです。
ホテルの強みを理解するために、チームにどのような質問をしたでしょうか。
目的は「組織の強みを理解すること」です。
ここを忘れず、ご自身の組織にあわせて質問を考えてください。
強みを明らかにする段階で、ルールをまず説明します。
目的は、「このホテルの事業の強みを明らかにすること」と。
そして、その目的を達成するために、競合他社が持っていない資源や資産を把握する必要があると。
強みを出しあうためのミーティングの基本ルールはこうです。
・お互いに正直でオープンであること。
・自分たちの弱点を認め、強みを認める姿勢が大切。
・お互いの意見を尊重すること。
・今日学ぶことに基づき、今後進んで行動を起こすこと
最初の質問は「ホテルのコア・コンピタンス、あるいは独自の能力は何ですか? 例を挙げてください?」
すると、さまざまな答えがあがりました。
・都市の中心部という絶好の立地条件から、豊かな歴史と伝統まで。
・ホテルの大きなサイズと緑豊かな庭園が、宿泊客に安らぎのある隠れ家を提供したかについて。
つぎの質問は、「市場における他の競合他社ホテルとの差別化要因は何か?」
・個別対応サービス、イベントを成功させたこと
・持続可能性へのコミットメント
さらなる質問は、「顧客や提携事業者からみた、ホテルの強みは何ですか?」
・ホテルのスタッフを賞賛する顧客からの具体的なフィードバック
・快適な部屋、おいしい食事
・ホテルでイベントを成功させた提携事業者の声
つづけて、「競合他社が持っていないリソースや資産は何か?そしてホテルはそれらをどのように活用し、優位に立っているのか?」という質問が出ました。
・ホテルの広大な敷地
・エレガントな宴会場と会議施設
さらに「ホテル業界において、当ホテルの成功の実績は?その実績を表す、具体的な事例や指標は?」
・長年にわたる安定した収益性の数字、顧客満足度の高さとしてリピート率
「ホテルはどのようにして前述のような成功を達成したのですか?」
・プレミアムな結婚式場としての評判
・ホテル業界において老舗であること
「従業員や重役といった社内の利害関係者は、ホテルの強みに何があると考え ていますか? また、それが強みだと思う理由はなんですか?」
・従業員は、当ホテルのパーソナライズされたサービスが強みだと考えていて、それが強みだと思う理由は、従業員のワークライフバランスの良さが整えられている環境にある。
このように、セッションで集められた情報は、ホテルを再生させるために極めて重要です。
これは、さらに分析され活用できる元となるとともに、次に弱点を特定する次のステップにもつながるからです。
事例 強みを書き出す
SWOT分析の4象限のマスのなかの、「強み」のセクションに記入を始めましょう。
私たちは、ホテルを好転させるために生かすべき重要な強みをいくつか特定してきました。
ホテルを立て直すためにために、それらの強みを生かしていきます。
記入してゆく内容は、前にあげた項目です。
・街の中心部という絶好のロケーション
・豊かな歴史と遺産
・広大で緑豊かな庭園
・パーソナライズされたサービスへの良い評判
。イベントの成功
・持続可能性へのコミットメント
・快適な部屋
・おいしい食事
・エレガントなボールルームと会議施設
・ホテルにまつわる長きにわたるの評判
・会議施設
・地域社会における長きにわたる評判
・長年にわたる安定した収益性
・顧客満足度の高さ
・高いリピート率
・一流の結婚式場としての評判
・業界における長年の実績
・前向きな職場風土
・ワークライフバランスの良さ
強みのステップまとめ
ここでは、強みを特定し、書き出すところまでをナビゲートしました。
SWOT分析は、業界のなかでの組織の競争上の優位性を理解し、それを活用してゆく方法です。
まず、活かせる強みをここでは明確にしてきました。
お気づきでしたか。
活かせる強みは、決して売上とか、立地とか、目に見えるものばかりではありません。
従業員へのアンケートやヒアリングで明らかになる項目も含まれています。
だから、思いつきでSWOT分析をすすめないでください。
情報収集が足りないと感じられたら、情報収集をいまからしていただいても遅くはありません。
組織の強みを決定する際に尋ねなければならない重要な質問も、ここで学びましたので、この項目をみながら、自社で拾い上げることができる強みは他にはないかどうか、包括的な視点でもういちど眺めなおしてみましょう。
そして、書き上げるところまでいきましたか。
きっと、強みを書き上げたとき、あなたは興奮しているとおもいます。
よし!と、前向きな気持ちでみなぎっているとおもいます。
では、次の「弱みを特定する」へすすみましょう。