この記事では、SWOT分析の包括的なアプローチで弱点を明らかにしてゆきます。
弱みとは
SWOT分析では、観たくない面もみてゆきます。弱点はそんな、組織のみたくないダークサイドを直視する作業が必要です。
でも心配しないで。一緒に乗り越えてゆきましょう。
弱点とは、基本的に、組織が次のような点で劣っている、あるいはパフォーマンスが不十分である部分のことをさします。
・組織が競合他社に比べて不足している部分
・業績不振に陥っている部
組織の弱点を特定することは、SWOT分析のなかのとても重要な部分となります。
理由は、弱点克服する方法がみつかると、成功へ近づくからです。
だから、現実から目をそらさず、直視しましょう。
組織の弱点を特定するとなると、組織の内部要因と外部要因の両方を考慮しなければなりません。
組織の内部的な弱点としては、時代遅れの作業や製造のプロセス、リソースの不足、熟練した従業員や意欲的な従業員の不足などが含まれます。
組織の外部的な弱点とは、否定的な評判や、市場での弱い地位、市場での立場の弱さ、業界とのコネクションの欠如などがあります。
組織の弱点を特定する一つの方法は、そのパフォーマンスを競合他社と比較することです。
例えば、ある組織の売上高や市場シェアが競合他社に比べて低い場合、それはおそらく弱点です。
また、業界のベンチマークも、組織の弱点を示す有効な指標となります。
でも、肝心なことはここからです。
弱点は、その弱点を特定し、それに対処することで、今後改善をすることができるわけです。
そして、組織はそれらを強みに変え、全体的な競争力を向上させることができるのです。
弱みを強みに変えることは、簡単なことではありません。
でも、それだけの価値があることに、違いはありません。
では、組織が持つ弱みの例にはどのようなものがあるか、気になりますね?
以下、いくつか挙げてみます。
・ 時代遅れのプロセスやシステム
時代遅れのプロセスやシステムを持つ組織は、業界の変化についていくのに苦労するかもしれません。
業界の変化についていけず、競合他社に比べて効率性や生産性が低いかもしれません。
・リソース不足
限られた予算や少人数のチームなど、リソースが不十分な組織は市場の需要に追いつくのに苦労したり、新しい取り組みに投資できなきないかもしれません。
熟練した、あるいはやる気のある労働力の不足もここにはいります。
熟練した従業員ややる気のある従業員が不足している組織は、高品質の製品や従業員を提供するのに苦労することになります。
もしくは、質の高い製品やサービスを提供するのに苦労しているかもしれません。
いずれも、顧客の不満、売上や市場シェアの低下につながります。
・ネガティブな評判
ネガティブな評判を持つ組織は、新規顧客の獲得や既存顧客の維持に苦戦しているかもしれません。
その原因は、顧客サービスの悪さ、製品やサービスの質の低さ、顧客満足度の低さなど、さまざまなところから生じます。
・市場での立場の弱さ
市場での地位が弱い組織は、競合他社との競争に苦戦する可能性があります。
ここまでみてわかるように、組織の弱点を見極めようとするときは、正直で、かつ、現実的であることが重要です。
組織の弱点を客観的に認め、対処することが、長い目で見たときに役立つのです。
助けを求めたり、弱点を強みに変えるためのリソースを探すことにつながるので、弱点を直視することを恐れないでください。
弱みを特定する包括的なアプローチ
SWOT分析における弱点を特定するのための方法をご紹介します。
SWOT分析で弱点を特定するとき、まず、次のことを試してみてください。
・社内のプロセスとシステムを見つめ直す
非効率性やボトルネックを探すことになります。
・顧客やパートナーからフィードバックを求める
組織がうまくいっている点、改善できる点について率直なフィードバックを求めてみましょう。
誰も完璧ではないのです。外からの評価を恐れないでください。
・市場のなかでの組織の脆弱性を評価する
競合他社がどのようにこちらの組織の弱点を突くことができるかを検討します。
・課題と障害を特定します
組織が過去に苦労したこと、そしてその苦労に対処するために何をしてきたか、何ができるかを検討します。
・社内のステークホルダーと関わる
従業員、経営幹部、その他社内の利害関係者に組織の弱点についての見解を質問してみてください。
従業員や組織の幹部には、改善すべき領域を特定するのに役立つ貴重な洞察をもっていることが多いです。
・未活用または未開発のリソースを評価する
組織が有する資源や能力のうち、十分に活用されていないものがあるか、それは何かを検討します。
この弱点がみつかれば、改善の余地や成長の機会かもしれません。
・顧客からのフィードバックや苦情を検討する
顧客はしばしば、組織が不十分である領域について、貴重な洞察を提供してくれるものです。
だから、顧客からのフィードバックや苦情のパターンを探し、潜在的な弱点をあぶりだせます。
・競合他社と比較する
組織のパフォーマンスと能力を競合他社と比較します。
これは、貴社が遅れをとっている、あるいは業績不振に陥っている可能性のある領域を特定するのに役立ちます。
・ギャップ分析を行う
組織の現状と、将来あるべき姿を比較します。
これは、目標を達成するために取り組むべきギャップを特定するのに役立ちます。
・従業員にインタビューをする
組織の弱点について従業員に意見を求めましょう。
従業員から貴重な見識や改善のアイデアが得られることも多いです。
弱みを特定するための正しい質問
SWOT分析を通して組織の弱点を理解するために、こんな質問をしてみてください。
ここでは、組織の弱点を発見するために、具体的な質問を紹介します。
・組織のパフォーマンスを向上させるために、改善すべき具体的な内部プロセスやシステムは何でしょうか?
・組織のパフォーマンスを高めるために、具体的にどのような社内プロセスやシステムを改善する必要がありますか?
・顧客やパートナーは、組織の製品やサービスをどのように認識していますか?
また、具体的にどのような意見や不満をもっていますか?
・どのような市場のトレンドや外部要因が、組織のパフォーマンスに大きな打撃をもたらしていますか?
・組織が現在直面している具体的な課題や障害は何ですか?また、それらが組織の業績にどのような影響を及ぼしていますか?
・従業員、経営幹部、部門長など、社内の利害関係者は、組織の社内体制をどのように認識していますか。
・従業員、経営幹部、部門長などの内部利害関係者は、組織の内部プロセスや内部システ ムをどのように認識していますか。
・改善のための具体的な提案は何ですか?
・組織が持っているにもかかわらず、パフォーマンスを向上させるために有効活用できていないリソースはありますか?
・顧客が組織の製品やサービスに関して抱えている具体的な問題は何ですか?
・組織は、特定の領域について競合他社と比較してどうですか?
・組織のパフォーマンスや能力に、具体的にどのような目標と現状のギャップがありますか?
・組織のパフォーマンスを向上させるために取り組む必要はありますか? あるとしたら、どのような具体的なギャップが存在していますか?
・従業員は自分の役割や組織全体にどの程度満足していますか?
・従業員がもつ、改善のための具体的なフィードバックや提案は何ですか?
これらの質問は適宜組織にあわせて変更してください。
くれぐれも、質問の目的は、組織の弱点を理解することというのを忘れないように。
実例紹介
ホテルの弱点を明確にするための議論が始まりました。
「どのようなプロセスが非効率的なのか、市場においてどのような脆弱性があるのかをまず理解したい。
だから、ホテルが過去に業績不振に陥ったり、苦戦を強いられたりした分野はまず何でしょうか?」、と質問を始めました。
ホテルの稼働率の低迷から、古くなったアメニティまで様々にあがりました。
従業員は、スタッフがいかにやる気をなくしているか、ホテルのオンライン上での魅せ方がいかに欠如しているか、そして、ホテルの設備がいかに古いかについて話しました。
そして、ホテルが、この地域に建った新しいホテルと激しい競争のなかにいて、競争についてゆくのがいかに苦しいかということも話しました。
「ホテル内部の、作業プロセスや、制度、システムも非効率なものは何か?」という質問も、されました。
このなかでは、ホテルの予約システムの反応が遅いということもありました。
これでは、顧客からの苦情処理がすばやくなされず、ホテルの空き室管理がうまくいかないことにもつながることがわかりました。
「顧客や協業者からあげられた、当ホテルの弱点は何だったか?」という点では、ホテルの質の低さについて苦情を寄 せた顧客からの具体的なフィードバックが、紹介されました。
部屋は古いといった内容でした。
また、ホテルの設備の悪さや、アメニティーがゆきとどいていないせいでイベントの開催に苦労した協業社からのフィードバックも共有しました。
「ホテル業界における当ホテルの脆弱性は何か? 競合他社に、この脆弱性はどのように利用される可能性があるのか?」
この視点からは、当ホテルがオンライン上で存在感を示していないことが議論されました。
また、ホテルの時代遅れのアメニティと貧弱なサービ スは、同地域の新しいホテルに顧客が流れる可能性があることも話し合われました。
また、このホテルの最大の強みであった立地が、今では弱点となっていることについても話し合われました。というのも、昔は強みであった立地が、街の中心部や新しい開発地区から離れているため、今では弱みとなっていると。
「ホテルの主な課題や障害は何か?」
ホテルの財政難、時代遅れの設備、明確なマーケティング戦略の欠如が話されました。
「従業員や重役といった社内の利害関係者は、ホテルの弱点は何だと考えているのか? なぜ、それが弱点だと考えているのか?」という問いかけもされました。
ホテルの明確なリーダーシップと、双方向性の欠如、コミュニケーション不足、およびスタッフのトレーニングへの投資不足があがりました。
「ホテルがもっているにもかかわらず、十分に活用できていない資源や能力は何ですか? それらは、当ホテルの弱点に対処するため、あるいは外部の機会を活用するために、これらをどのように活用できるでしょうか?」
これには、ホテルの広大な土地と美しい庭園、スパや結婚式場などで、サービスを充実させるために活用できるかもしれないことが話されました。
また、ホテルの経験豊富なスタッフを、研修や能力開発プログラムを通じて、その豊富な経験と人材を活用する方法する方法についても話し合われました。
弱点を明確にする話し合いが終わりに近づき、共有された情報が、ホテルの弱点に対処し、ビジネスを好転させるための計画立案に使われるということが、みなの意識のなかにゆきわたりはじめました。
実例その2 弱みを書き出す
彼らはホテルの弱点について幅広くブレインストーミングを行ったあと、SWOT分析の「弱み」のマスのなかに、弱点を文書化する段階になります。
こんな風に、まとめられました。
・老朽化したアメニティ
・やる気のないスタッフ
・オンラインでの存在感の薄さ
・新興ホテルとの競争激化に対応する難しさ
・貧弱なサービス
・時代遅れの部屋
・アメニティの欠如
・財政難
・時代遅れの設備
・明確なマーケティング戦略の欠如
・明確なリーダーシップと双方向性性の欠如
・コミュニケーション不足
・スタッフ研修への投資不足
・資源や能力が十分に開発されていない。
話し合いに参加したメンバーは、自分たちのホテルが置かれている状況の深刻さと、早急な行動の必要性を理解しました。
自分たちの欠点を認めるのは、容易なことではありません。
でも、改善計画をたてるために、必要なことでした。
ホテルの弱点を強みに変え、成功にもってゆこうと、メンバーのみなは確信し、次の会議に集まる約束をして解散しました。
「弱みを明確にする」のまとめ
ここでは、組織の弱点を明らかにする方法を学びました。
さて、あなたの組織の弱点を特定するために、するべき質問は何だっでしょうか?
そして、あなたの組織の弱点は何だったでしょうか?
弱みを直視するのが難しいのは、いまの存在やいまの活動をすべて否定されるかもしれないという恐怖や不安から起ります。
でもそうではなく、弱みを特定することは、よりよい未来を描くためという場の共通認識をつくることができれば、直視できない課題や問題がそこにあったとしても、希望に満ちた気持ちで、次のステップへすすむことができます。
さあ、あなたも怖がらずに、弱みの項目を特定し、書き出してみましょう。