ステップメールの通数設計について、「共感・信頼・販売の3軸はわかったけれど、何通にすべきか悩んでしまう…」というあなた。
実は、通数を決める一番のカギは「相手との関係性の深さ=信頼度」です。
ステップメールは単なる配信回数の問題ではありません。内容がどれほど丁寧でも、関係性が浅い相手には届きづらいことがあります。一方で、すでに強い信頼がある相手には、3通でも十分に成果が出ることもあるのです。
では、その「信頼の深さ」って、どうやって判断すればいいのでしょうか?
直感?
もちろん経験値も大切ですが、具体的な基準や行動データをもとに判断できる方法があります。
この記事では、信頼関係の深さを見極めるための着眼点や分類基準、判断方法までを丁寧に解説します。
ステップメールの設計前にあなたも「信頼度診断」をしてみてください。
そうすれば、通数も内容構成も迷わず決められ、反応率もぐんと高まります。
設計に入る前のこの診断の一手間が、メールマーケティングの結果を大きく左右しますので、ぜひ最後まで読んで、あなたのメール設計に活かしてください。
目次
第1章|なぜ「関係性の深さ」が通数を左右するのか
ステップメールを設計するとき、こんな誤解に陥っていませんか?
「内容さえしっかりしていれば、通数は何通でもいい」
「短くまとめたほうが親切で、読まれやすい」
実は、これらの考え方は部分的には正しいとしても、全体としては不十分です。
本当に大事なのは、メールを受け取る相手との関係性の深さ、つまり、信頼残高なのです。
たとえば、すでにセミナーに参加してくれている人、サービスの一部を体験済みの人であれば、3通でも「信頼→販売」へスムーズに進みやすいでしょう。
しかし、ブログ経由で初めて接点を持った人や、あなたの業界に不信感を抱えている人であれば、7通でも足りないことがあります。
なぜなら、ステップメールは「売る」だけのツールではなく、
共感 → 信頼 → 販売 という順序で心理的な距離を縮めるプロセスだからです。
その過程で、「この人の言ってることなら信じられるかも」と思ってもらえるかがカギ。
これがいわゆる信頼残高の考え方です。
信頼残高が高い相手には、販売を早めに案内しても反発されにくい。
逆に、信頼がまだ薄い相手には、丁寧に「共感」「信頼」を重ねていく厚み”のある構成が必要になります。
このあたりの基礎は、別記事「成果を伸ばす!5通・7通構成のステップメール設計法」で詳しく解説していますので、
まだ読んでいない方は、そちらもぜひご覧ください。
👉初心者向けの基本3ステップを学ぶ 記事はこちらから
👉基本3ステップを理解した上で5通、7通の設計をしたい人向けの記事はこちらから
この章では、ステップメールの通数は「コンテンツの質」だけでなく、相手との関係性が大
く関わっている、という前提を押さえておきましょう。
次章からは、実際に信頼関係の“深さ”を見極めるための具体的な要素をご紹介していきます。
第2章|信頼度を分類する「着眼要素」はこの4つ(初心者向け)
「信頼度なんて、どうやって測るの?」
これは多くのメールマーケティング初心者が最初にぶつかる疑問です。
もちろん完璧な答えは存在しませんが、実務の現場で利用できる分類方を4つご紹介します。
それが、次の4つの「着眼要素」です。
「複雑なシステムはいらない。まずは1つの軸だけで分類したい」
という方も、ここからスタートすれば、信頼度をおおまかに見極められます。
2-1 着眼要素①:接点の種類(有料/無料/どんな導線での登録か)
登録の“入り口”を見るだけで、信頼度は大まかに判断できます。
- 有料セミナーや購入者登録から入ってきた人は、信頼度が高い
- 無料レポートや広告からの流入は、信頼度が低め
- 友人紹介や口コミで来た人は、信頼性のバトンがすでに渡されているため中〜高程度
実践例:
たとえば、同じ「チェックリストDL」でも、
- 自社ブログから自然流入でDLした人
- SNS広告をクリックしてDLした人
- セミナー参加者に向けて配布したDL資料
では、信頼の前提がまったく異なります。
信頼度分類(例):
- セミナー参加者・既存顧客:★★★(高)
- ブログ流入:★★(中)
- 広告経由:★(低)
と分類することができます。
2-2 着眼要素②:行動の温度(開封率、クリック率、直帰率など)
接点のあと、「どれくらい積極的に動いているか」を見る指標です。
- メールを毎回開封している(高い関心)
- 記事リンクをクリックしている(学習・比較中)
- 開封していない、または開封だけ(温度感は低い)
実践例:
過去7通のメールで、
- 毎回開封&1通に1回はリンククリックあり → 信頼度:★★★
- 開封だけはするがクリックはゼロ → 信頼度:★★
- 開封率10%以下 → 信頼度:★
2-3 着眼要素③:自己開示の深さ(返信・アンケート・問い合わせ)
相手がどこまで“自分のこと”を開示してくれているかも、信頼の厚みを測るポイントです。
- ステップメールに対する返信がある
- セミナー感想やアンケートに回答している
- 問い合わせフォームから質問がある
こうした行動は、相手の心が「受信モード」から「対話モード」に切り替わっている証拠です。
実践例:
- 返信あり+アンケート回答あり → 信頼度:★★★
- アンケートにだけ答えている → 信頼度:★★
- 一切の自己開示なし → 信頼度:★
自己開示は、心理的距離の縮まりを示すシグナルです。返信1通でも、メールの内容は数値以上に重要なヒントになります。
2-4 着眼要素④:流入経路・キャンペーン起点(広告、紹介、SNSなど)
「どこから来た人か?」という出発点の違いでも、信頼の深さはまったく変わります。
- 広告経由 → 「今すぐ客」も多いが、信頼ゼロからのスタート
- 紹介や口コミ → 最初から信頼を一部引き継いでいる
- SNSフォロワー → 継続接触があるため中程度の信頼あり
実践例:
- 広告→リードマグネット→登録 → 信頼度:★(導線次第で★★)
- SNS投稿から自然登録 → 信頼度:★★(すでに投稿を見ている)
- 既存顧客からの紹介 → 信頼度:★★★(信頼のバトンが渡っている)
「流入元ごとにタグ付け」してセグメント分けをしておくことで、後から信頼度別に通数や内容を調整しやすくなります。
2-5 まとめ:まずは1つの着眼要素から「分類」してみよう
今回紹介した4つの視点は、どれもシンプルなので取り組みやすい指標になります。ぜひどれかひとつの指標を選び、信頼度分類作業を実践してみてください。
次章では、これら複数の要素をどう組み合わせれば、さらに精度高く信頼度を測れるかをご紹介します。
第3章|本来は掛け合わせが理想!信頼度スコアリング法(中〜上級者向け)
第2章では、1つの着眼点から信頼度を見分ける方法をご紹介しました。
これでも十分に効果がありますが、複数の要素を掛け合わせて判断した方が、精度は上がります。
理由は単純です。
たとえば、開封率が高くても、自己開示がゼロの人と、問い合わせまでしてきた人では、信頼度の中身が全然違うことはあなたも容易に想像いただけますね。
ポイントは、各要素をスコア化して合計することです。
具体的に、行動の温度 × 接点の種類 × 自己開示の複数の観点をスコアにして、総合的に信頼残高を点数化する方法を以下みてみましょう。
戦略的なメール設計のカギになります。
3-1 シンプルな3軸スコアの例(接点の深さ+行動+自己開示)
スプレッドシートやCRMで以下のようなスコア管理ができます。
指標 | 内容 | スコア例 |
接点の種類 | 有料セミナー参加=3、無料DL=1 | 1〜3点 |
行動の温度 | 開封率70%以上=3、クリックあり=2、なし=1 | 1〜3点 |
自己開示 | 返信あり=3、アンケート回答=2、なし=1 | 1〜3点 |
合計スコア | 3〜9点 |
このように、スコアが高ければ関係が深く、低ければステップメールで「共感・信頼」フェーズを手厚くする必要がある、と判断できます。
3-2 スコア管理の方法例 スプレッドシート(MAを使わない場合)
スコア管理の方法Googleスプレッドシートを活用して、登録者ごとに手動で数値を記録し、合計スコア順に並び替えるだけでも十分です。
- A列:名前
- B列:登録経路(スコア1〜3)
- C列:行動(メール開封率など、1〜3)
- D列:自己開示(アンケート/返信など、1〜3)
- E列:合計スコア(自動計算)
少人数リストであれば、スコアに応じて手動で、個々のオーディエンスにタグ付けし、「ショートバージョンを送る」「共感を手厚くする」など配信の調整ができます。
3-4 Mailchimpでのスコアリング設定例
Mailchimpでスコア管理をするメリット
Mailchimpでは、オーディエンスごとにタグ・セグメント・行動トラッキングを活用して、スコアリング的な振り分けが自動化できます。
MailchimpはMA(マーケティング・オートメーション)初心者にとっても、実装がしやすいのが特長です。スコアリングの導入方法をご案内しましょう。
手順①:タグを活用して接点の種類を記録
リードマグネットや登録フォームの導線ごとに固有のタグを設定しましょう。
タグをつけるとは、たとえば
- 無料eBookDL:「tag = eBook_free」
- 有料セミナー参加:「tag = seminar_paid」
- 既存顧客:「tag = existing_customer」
※フォームごとに自動でタグをつける設定が可能です。
これにより「接点の深さ」がデータ上に記録されます。
手順②:行動トラッキングに基づいたスコア管理
Mailchimpは、開封率・クリック率に応じたセグメント設定が可能です。
例:
- 過去7日で開封率70%以上:「Engaged_High」タグを付与
- クリックあり:「Clicked」タグを自動付与
やり方:
- セグメント作成:
「Last campaign opened is within the last 7 days」などの条件で、セグメント作成。 - オートメーション作成:
「セグメントに入ったらタグを付与」などのルールを設定。
こうすることで、開封・クリックによる「行動の温度」が自動で記録されます。
手順③:自己開示アクションのスコア記録
自己開示は「返信」や「アンケート回答」などで把握できます。
方法A:返信メールがあるか確認
Mailchimpでは、返信をトラッキングできません。
→ Gmailなどの受信側でラベル管理し、Zapier経由でMailchimpにタグを付けるのが効果的です。
例:
- 返信が届いたら Zapier → 「Reply_Tag」付与
方法B:アンケート回答者をタグ付け
GoogleフォームやTypeformと連携すれば、回答者に自動でタグ付けできます。
Zapierで「フォーム回答→特定タグ付与」の連携設定をするだけです。
最終ステップ:信頼度ごとにセグメントを分けて配信内容を変える
例:
- 「Seminar_Paid」+「Engaged_High」+「Reply_Tag」 → 信頼度A(ショートバージョン配信)
- 「eBook_Free」+「No Click」+「No Reply」 → 信頼度C(共感重視の構成)
こうして「3軸スコア」をもとにセグメント分けし、メール通数やCTAの強度を調整するのが、理想のシナリオ設計です。
3-4 まとめ
スプレッドシートやMailchimpの機能を使って、
信頼度を「見える化」して配信の最適化に活かすことは、成果を大きく左右します。
初心者のうちは、1軸だけでも十分ですが、
ステップメールで大きな売上や関係構築を狙うなら、ぜひ3軸スコアリング+自動振り分けにチャレンジしてみてください。
次章では、こうして可視化されたスコアをもとに、具体的にどう分類・配信設計するかを解説していきます。
第4章|信頼度チェックリスト&ランク判定テンプレート(保存版)
前章まででお伝えしたように、「信頼度」は本来、複数の軸を掛け合わせて見ていくと、より精度の高い配信設計が可能になります。
とはいえ、まずは1つの視点からA・B・Cの3段階に分けるところから始めてOKです。
ここでは、それぞれの信頼度レベルごとの特徴と、通数の目安を表で整理します。
◆ 信頼度A・B・Cの分類表(単軸ベースの例
信頼度 | 接点の深さ例 | 行動例(開封/クリック) | 自己開示例 | 通数の目安 |
A | 有料セミナー参加/既存顧客 | 開封率80%以上、クリック複数回 | 問い合わせ・返信あり | 3通でも可 |
B | 無料PDF/比較検討型記事から登録 | 開封率50〜70%、クリックあり | アンケート回答など軽めの反応 | 5通がベース |
C | SNS広告/未開封やクリックなし | 開封率30%未満、反応薄い | 自己開示なし | 7通以上推奨 |
このように、接点の出どころ・行動の温度感・自己開示の有無のいずれか1つでも指標があれば、ざっくりと信頼度ランクをつけることが可能です。
まずは1つの軸で分類し、それを元に通数の設計をしてみましょう。
慣れてきたら、前章のように2軸・3軸を掛け合わせてのランク判定にステップアップすればOKです。
◆ 信頼度別|ステップメール通数の設計イメージ
信頼度 | 共感フェーズ | 信頼フェーズ | 販売フェーズ | 総通数の目安 |
A | 薄め(1通) | 薄め(1通) | 厚め(1通) | 3通 |
B | 普通(1通) | 普通(2通) | 普通(2通) | 5通 |
C | 厚め(2通) | 厚め(3通) | 厚め(2通以上) | 7通以上 |
Cレベルの読者には、共感と信頼のフェーズをしっかり積み上げていく必要があるため、販売を急がず、助走の長さを重視することが大切です。
◆ もっと詳しく知りたい方へ
より細かいシナリオ設計に関心がある方は、応用編記事
👉『成果を伸ばす5通・7通構成のステップメール設計法』
をご覧ください。
次章では、ここまでで分かったランク情報をどう活かして配信設計に反映させるか、最後に全体のまとめとしてご案内します。
第5章|まとめ:信頼度が見えれば「ステップメールの通数」が決まる
「ステップメールは何通が正解ですか?」という質問を、私たちはよく受けます。
ですが、その答えは 「内容」ではなく「関係性の深さ」にあります。つまり、信頼度こそが通数を決める軸です。
関係が深ければ、3通でも成果が出ますし、
関係が浅ければ、7通あっても足りないことがあります。
これは、読者が「この人の話なら聞く」と思っているかどうか、
言い換えればあなたへの“信頼残高”がどれだけあるかで決まってきます。
◆ 信頼度が「見える化」できれば、通数設計に迷わない
第2章・第3章でお伝えしたように、
信頼度は「接点の深さ」「行動の温度感」「自己開示」「流入元」といった複数の着眼要素から測ることができます。
はじめは、1つの軸だけでも構いません。慣れてきたら、複数要素を組み合わせる「スコアリング設計」で、より精度の高い判断も可能になります。
一度スコアを設定してしまえば、
新しいリードが入ってきたときにも、「この人には5通必要だな」「この人は3通でいける」とすぐに判断できるようになります。
設計の迷いがなくなるだけでなく、反応率も上がるという好循環が生まれます。
ぜひ、迷ったら、信頼度計測と、それに沿った設計と実施をおこなってみてください。
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👉【応用編】成果を伸ばす!5通・7通構成のステップメール設計法
👉【関連】この人、本気?いますぐ客とそのうち客を見分ける3つの方法
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