デジタルマーケティングを強化したいからと、Mailchimpを導入されようとする中小規模事業所の経営者さまから、こんな質問をいただきました。
「やるなら、徹底的に使いこなしたい。料金プランは、最初から上位のスタンダードプランを利用するほうがいいか?」
はい。ご質問ありがとうございます。
このケースでは、いろいろヒアリングさせていただいた結果、まず、Freeプランで契約いただくことをお勧めしました。
Mailchimpの無料を含めた低価格プランは、機能制限があります。その機能制限を気にせず、最初からスタンダードプラン契約にして、使えるMA機能をフル活用できる環境を整えるほうがいいのではと、経営者様はお考えだったようです。
MA(Marketing Automation マーケティング活動の自動化支援ツール)として、いずれ高度なMA機能も使いたいとお考えで、Mailchimpを選択されたのは、間違いではありません。
でも、せっかくの高機能MAツールを導入しているにもかかわらず、ほとんどの事業所では、その高機能MAツールを活用できず、月1回のメルマガ配信にしか活用できていないところが多いのが現状です。
導入時に期待したような、マーケティング・オートメーション機能の活用をすすめるには、どんな手順で社内の仕事の環境や、しくみの整備を進めたらいいか、この記事でお伝えします。
記事を読んでいただくことで、どのようなデジタルマーケティングの活用の道筋があり、自社はどの段階にまでいったら、これらMailchimpの高度な機能を使いこなせるようになるのかわかります。
焦らず、一歩ずつ、確実な活用の道を歩きましょう。
目次
MAツールとは
そもそも、Marketing Automationツールは、マーケティング活動のさまざまな場面の自動化を支援するソフトウェアです。
マーケティングのさまざまな場面とは、既存顧客や、見込み客とのコミュニケーション。
既存顧客や、見込み客のセグメント化された属性に対する、きめ細やかなコンテンツ配信。
などがあります。
その他には、
・リスト管理
・リスト毎の行動ログの取得と確認ができる
・フォームの作成
・ランディングページの作成
・メール配信(一斉配信、セグメント毎の一斉配信、ステップメールんど)
・アクセス解析との連携
・シナリオ作成と自動化
・ポップアップ機能
・e-コーマースショップとの連携
・ウェブサイトとの連携
・マーケティングのプラン作成支援
などの機能があります。
これらの機能をフルで使いこなすには、3つの段階があります・
それぞれの段階で、各段階で行うべき条件をクリアして、ひとつずつ進んでださい。
段階1 まず環境を整える
4つの条件をクリアして第一段階を整えてください。
段階1-1 リストの数が500以上
リストが大事です。
じゃあ、どれぐらい集めたらいいのか?
まず、最低は500以上にしてください。
メール配信において大切なのは、開封率とクリック率です。
あなたのリストが500だとします。
開封率が40%だとしたら、500通×40%で、開封して読んでくれるリストは200件です。
そのうちで、メール内のURLをクリックするという行動を起こしてくれる人が、10%だとすると、500通×10%で、行動しクリックしたURLの情報を読んでくれる人はたった50リストという数字になります。
行動したあとURLを読んでくれた人が、たとえ3%購入してくれたとしても、購入件数はたった1.5件にしかなりません。
購入してくれる人を増やしたいとおもったら、そもそもの母体を大きくしなければならないというのは理解いただけますね。
段階1-2 新しいリストが集まりつづける
毎年新しいリストが1000件以上集まりつづける仕組みが出来ていますか?
同じリストに対して、メールを送っても、反応が薄くなります。
だから、新しいリストが増え続ける状態である必要があります。
リスト集めは、いちど集めたら終わりなのではありません。
事業継続させ成長をさせるには、リスト集めは最重要課題であり続けます。
段階1-3 継続的なコンテンツ供給の仕組みがある
できれば毎週、最低でも毎月1回は、新しいコンテンツを投下することが必要です。
コンテンツ投下のスケジュールだけを決めても、意味はありません。
気合だけで、都度都度コンテンツ制作に臨んでも、たいてい、頓挫してしまいます。
コンテンツ企画から制作、アップまでの各作業を、仕組み化しておくことが大切になります。
段階1-4 担当者を置く
専任のマーケティング担当者を一人以上置きましょう。
とはいえ、多くの事業所では、MAツールを運用開始するとき、ツールの導入だけを決め、初期設定から運用計画までを、既存の仕事の割り振りのなかで、兼任で任せてしまう場合がほとんどです。
厳しい言い方ですが、人的リソースの確保、つまり、作業時間の確保が足りていない場合、MAを使用する効果はほとんど得られません。
もしあなたが、導入を決定する権限のある経営者なら、外注するか、内製するならせめて、専任の担当者を一人置くのが厳しい場合、0.5人からスタートするのでもかまいませんので、人的リソースの確保をしましょう。
困っておられる企業担当者様からのご相談をお聴きしていると、営業担当でかつITに詳しいからとメールマーケティングのことやMailchimpのことは全くわからないのに、運用担当を任されてしまって、そのうえ、最近メールで売上を挙げろと言われて、もうどうしていいかわからない、と、おっしゃっていました。
既存の営業の仕事を減らさず売上成績を維持しながら、プラス、リストのスコアをチェックして、コミュニケーションを取ったり、シナリオを作成し、PDCAをまわしながら自動化したりする勉強をして、運用に時間を割くとなると、寝る時間を惜しんでも、足りません。
オートメーションを入れて、営業活動を楽にしてやりたいという想いがあるなら、経営者は、人的資源の確保を必ず行ってください。
オートメーションをやるぐらいなら、営業電話を1本でも掛けるほうが、手間もなくていいと、営業担当者に思われていては、MAはすすみません。
社内に適任者を確保できない場合は、外部パートナーに任せる選択もありです。
最近は、フリーランスという働き方も増え、専門職の外注先を探しやすくなっています。
初期設定や運営プラン設計は、みかんぐみでもお受けできますので、ご相談ください。
段階2 使いこなしの1歩目
段階2-1 受注に近いところからまずやる
導入したてのときにやりがちなのが、集めたメルアドリストに、一律に、ひたすら一斉メール配信するという作業です。
そうではなく、まず、受注成果のあがりやすいことからやりましょう。
最初やることは、リストのスコアをチェックし、仮説をたてて、受注にむけたセールス活動を人的に行うことです。
たとえば、受注につながったリストの行動履歴を追い、どんなコンテンツを閲覧したリストが、受注率が高いのかを把握します。
もし、ある特定のテーマの記事をみている割合が多いとわかったとします。
すると、コンテンツ制作の方針を、その特定のテーマに関する記事を集中的に作成することで、受注数を延ばすこともできます。
成果に一番近いところから行動し、そして目に見える成果をあげることで、ツールの使いこなしに自信もつきます。
なんだ!1歩目って、MAをつかってなくても出来るじゃないか、と思われましたか?
いいえ。
購入者や見込み客の動きが目で追えるしくみを、まず活用して、あなたの営業力をそこにプラスすると、受注の精度も高まります。
段階2-2 セグメントを使いこなす
セグメント機能をつかいこなしていきましょう。
MA機能の真骨頂は、セグメント機能です。
たとえば、クリック率が高いリストなど、将来受注につながる可能性の高いリストだけを、セグメントし、別コンテンツを自動で送ることも可能です。
セグメントの付け方については、MA中級者以上むけの教材を準備中ですので、もうすこしお待ちください。
段階3 難易度が高い機能を使う
段階1と2をきちんど踏んで、成果が出るようになったら、難易度の高い機能にも挑戦してみましょう。
難易度が高いけれど、より成果を出しやすくなります。
ここで使うのは、シナリオ設計機能です。
Mailchimpでは、Automaition機能のなかにある、Customer Jorneyを使います。
この機能の難易度が高いのは、設計の自由度が高いからです。
かつ、組み上げたシナリオが有効かどうかも、そのシナリオの完了までわからないうえに、時間がかかるからPDCAを回すのに時間がかかるからです。
よく質問で、「シナリオ分岐の実例をあげてください」と依頼されることがあります。
わたしも、自分のつくっているシナリオ分岐の例を、最初のころは頼まれればわたしていたのですが、最近は辞めました。
理由は、顧客のことをよくわからないままに、シナリオ分岐例をそのままそっくり設定上真似たところで、その方の顧客にとって有益な分岐かどうかはわからないまま、放置してしまわれるケースがほとんどだからです。つまり、無駄な作業をするだけにすぎないからです。
この機能は、高度な機能だと認識のうえで、顧客に必要な情報を届け、アクションを起こしてもらうひとつひとつを丁寧に勧める機能だと理解できれば、ご自身の顧客にあったシナリオ分岐をつくっていっていただけるようになります。
最初から、複雑なシナリオを組み上げる必要はありません。
はじめるときは、まず、シンプルに、たとえばホワイトペーパーをダウンロードした人に、御礼をいい、そして、資料の使い方を伝え、次に、足りないと感じる情報はないかと聞いてみるという使い方から始めるでいいです。
時間がたってくると、「資料請求したのに、資料ダウンロードしていない人がいる」ことがわかり、課題として掘り起こしが必要と分かれば、分岐させる作業がここで発揮できます。
でも、まず、掘り起こしが事業所の中で課題だと認識されていない段階で、無理に、掘り起こしのための、シナリオ分岐をさせる必要はないのです。
まず、シンプルに、資料を届ける、御礼をいう、使い方を尋ねてみる、感想を尋ねてみる、そんなところから始めてみてください。
MA活用の鍵はテクニックよりコンテンツ
リストの数が少ないと、成果があがらないのはいうまでもないことです。
しかし、リストがあったとして、MAの機能を詳細につかいこなそうと設定や使い方に長ける以上に大切なことが、コンテンツ作成の仕組み化です。
豊富なコンテンツがあれば、それらをきかっけに、さらにコミュニケーションをとることができます。
細かなコミュニケーションが取れるようになったら、受注率があがるのはいうまでもありません。
だから、コンテンツ作成能力を、あなたも身に着け、定期的に継続的に公開してゆきましょう。
ちなみに、冒頭で申し上げた企業様の場合、第二段階にまでゆかれたら、Mailchimpの契約をスタンダードプランにされて機能をより高度に活用いただけることをご案内しました。
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コンテンツ作成を定期的、継続的に行うためのワークを定期的に開催してます。
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