メールの件名は、メールを受信する人が初めて目にする場所になります。メールの件名をみるだけで、クリックしてメールのなかを見るかどうかを決められてしまいます。
だから、クリックして中をみてほしいと願うあなたにとって、とても大切な場所で、かつ、悩ましい場所にもなります。
最適なメールの件名を書くために、3 つの基本原則があります。
- パーソナライズする
- 関連性を持たせる
- 最適化のためのテスト
このガイドでは、上記3つの原則にのっとって、メールの件名をよいものにする15の方法を説明します。
あなたのメール作成時に役立つよう、メール件名の例もご紹介します。
目次
1. メールの内容を伝える
当たり前のアドバイスのように聞こえるかもしれませんが、お伝えしておきます。
件名で内容を少しだけ紹介して、興味をそそり、購読者に続きを読んでもらうようにします。件名で伝えている内容が漠然としすぎていると、開封して行動を起こす動機がなくなってしまいますので、やめましょう。
例 「生産効率を高める7つのヒント」
上記の例では、読者がメールを開くことで何が得られるかが明確です。
例 「あなたはこれを読むべきです」
2 番目の例では、開封を促そうとしていますが、読むことのメリットについての手がかりが与えられていません。
2. 読者の名前を入力してください
読者が、電子メールの件名に自分の名前があるのを見ると、気になって「それが何なのかを知る必要がある」とメールをおもわず開封してしまいます。この方法で、メールの件名をパーソナライズ化するのは、Mailchimpでは、件名に名前のマージタグを入力するだけで利用できます。
例「みか、今週の最新情報をおとどけします」
注意したいのは、この方法は、毎回は使えないということです。あまりに多く使用すると、読者は無視し始め、効果が薄れてしまいます。
3. インスピレーションを得るためにAIを活用する
気の利いた件名を考えるのは簡単ではありません。
そこで、何を含めればよいか思いつかない場合、AI を使って、よいコピーを作成する時間を短縮しましょう。AIによって生成されたコンテンツをそのまま使用することも、編集して購読者をよりおどろかせる件名を作成することもできます。
ChatGPTなど生成AIを活用するのもいいでしょう。
Mailchimpのスタンダードプラン以上の契約では、AI を使用して、件名だけでなく、ヘッドライン、サブヘッドラインを生成し、提案してくれる機能があります。
(メールのコンテンツ作成画面のなかの左側にある「Generate」のボタンから)
生成してほしい箇所を「件名・ヘッドライン・サブヘッドライン」から選択し、メールの内容を選択肢し、トーンとメールの種類を3つ選択して、生成を押すだけで、3つ程度の案を提案してくれます。
ただし、Mailchimpでは英文でしか利用できないので、英語で指示し、英語ででてきた内容を、和訳して使用する必要があります。
4.Subject line helperをつかう
メールの件名を書いている途中で、「絵文字を入れたら?」「文字数をもっと増やして」といった提案をしてくれる機能が、Maichimpには備わっています。
キャンペーンの作成画面の「subject」を書いている途中で、件名入力欄の右側に、その助言がいくつか現れます。
ただし、これも英文に対して働く機能なので、英文で件名をダイレクトに書く場合でのみ利用できます。
5.送信者名を個人名にする
受信トレイで最初に見にはいるのは、件名と送信者の名前です。
送信者名は、できれば、個人の名前を使用してください。
企業内の、担当者の個人情報をさらしたくないということから、「鈴木さん」という名前が与えられる場合もあるでしょう。でも、可能でしたら、実在の人物からメールを送信してください。
たとえば、あなたは、お母さんから受け取ったメールがあったとしたら、その件名が何であるかなんて気にしないで開封しますよね?
これがポイントなのです。
企業名、組織名、サービス名をどうしても入れたい場合は、たとえば、「みかんぐみの和田」というふうに、読者が会社を認識し、かつ個人的な内容を送られていると名前から印象を受けるようにすると、効果的でしょう。
6. 読者の所在地をなにか参照する
人々は、いま居る土地や、つながりのある土地に、親しみを感じています。
たとえば、件名に地域特有の言葉や方言を含めると、読者は自分のいまいる場所や故郷で何が起こっているのかと興味を持ちます。
もし、読者につながりのない土地であっても、あなたが方言を使用することで、あなたに親しみを感じるようにもなるでしょう。
例 「お勧めの洗顔法 知らんけど」
関西弁では、話しのうしろに、遠慮気味というか、断定を避けて意味をやわらかくするために「知らんけど」とつける傾向があり、関西を想起させるようにそれをわざとつけてみました。
7. 関連性を持たせる
適切な人に、適切なメッセージを送りましょう。読者の興味や要望に合わせてコンテンツをカスタマイズして送るには、メール リスト全体にしてメールを一斉送信するのではなく、送信対象を小さなグループに分割、セグメント化することで、受信者の興味に関連する内容にすることができます。
読者の興味や関心と、メールの内容に関連性を持たせるには、件名のコピーを具体的かつ説明的にする必要があります。
メールの開封率を上げるために、ただキャッチーなばかりのフレーズを使用する誘惑に負けないでください。
たとえば、次の例では、どちらの見出しがより説明的でしょうか?
例1 「今すぐ、メールの開封率が向上します」
例2 「メールの開封率が20%向上する5つのヒント」
例1 は、あまり説明的とはいえません。また、裏付けとなるものがないまま、ただ主張をしているだけです。一方、例 2は、読者に何が期待できるかを正確に伝えています。
件名は、読者に約束をし、その約束を、メール本文のコンテンツが果たします。
もし、件名で約束したことが、コンテンツで果たされなかったら、直帰率が上昇し、今後のメールも開封してもらえなくなります。
8. スパムに見えないようにする
スパムっぽいフレーズや、守れない約束は書かないでください。
メールの読者は、ひっかけには敏感です。
ちょっとでも怪しいとおもったら、開封してもらえないばかりか、すぐにあなたのメールを迷惑メールに振り分けてしまいます。
たとえば、感嘆符の使用は最小限に抑えるようにしてください。
感嘆符を赤の絵文字で表示するのも控えましょう。
また、緊急性をうったえかける件名は、パフォーマンスが下がりますので、ほんとに使いたいとき以外は、あまり頻度高く煽らないでください。
9. レスポンシブなモバイル表示を加味する
購読者の半数以上がモバイルデバイスでメールを閲覧しています。
表示される文字数は、デバイスによってかわります。
iPhoneの標準メールアプリの場合、件名は20文字程度表示されます。 一方、AndroidのGmailアプリでは、15文字程度しか表示されません。パソコンの場合は、30文字程度表示されます。
そのため、最善策として、件名は20文字程度で作成し、重要な情報は優先的に最初の15文字に収めるとよいでしょう。
10. 質問する
わたしたちは、質問されると、答えたくなります。
質問は、読者を会話に引き込む効果があります。
なので、読者の好奇心をそそる質問を、件名で試してみてください。
読者が「答えを見たい」と自然におもったら、メールの開封率が上がる可能性が高まります。
例 「こんなSEOの5つのミスをやらかしてませんか?」
11. 数字を使う
数字がはいったメールはなぜか開封率が高いです。
おそらく、「期待する内容」が明確に伝わるからでしょう。
MailerLite社のデータによると、数字を使用したメールの件名は24.97% の開封率を生み出し、数字を使用しない場合は 23.34% とのことです。
例 「このメールを開封すべき10の理由」
12. 希少性を活用する
件名で、オファーが限定されていることや有効期限があることを知らせましょう。
開封しなければ、価値が手に入らないことがひとめでわかります。
例 「先着10人限定 新型iPnoneが50%オフ」
13. 絵文字を試してみる
一部の業界では、絵文字がヒットしています。絵文字によってメールが目立ち、ブランドに個性が与えられることで、開封率とクリック率が向上することがわかっています。
しかし、絵文字が必ずしもどの業界でも成果を生む要素であるとは限りません。
絵文字が、自社のオーディエンスに対して効果的かどうかを調べるには、件名に絵文字をつけたバージョンと、つけなかったバージョンのA/Bテストを実施するといいでしょう。
例 「フラッシュセール⚡ギフト商品50%オフ」
14. プリヘッダーを有効活用する
プリヘッダーとは、件名の横に表示されるテキスト行のことです。Mailchimpでは、プレヴューテキストと呼ばれています。
これは、特に、モバイル デバイスでは重要です。
たとえば、iPhone では件名に 20 文字しか入力できませんが、プリヘッダーに約20 文字表示されます。
プリヘッダーをうまく活用することで、開封率とクリック率を高める、追加のチャンスが得られるわけです。
読者がメールを開くように動機付け、説得力のあるテキストを書きましょう。
もし、あなた自身が「自分のモバイルでは、プリヘッダーを表示しないようにしているから、自分が送信するメールにもプリヘッダーを付ける必要はない」と考えているようでしたら、それは間違いです。
メルラボで実施された調査では、20%もの受信者が「受信ボックスで見える本文の冒頭部分」を、開封の判断基準に挙げていました。
つまり、プリヘッダーの内容が、開封率に影響を与えているということです。
だから、あなた自身のことは脇において、プリヘッダーを活用してください。
では、どう書くか?
お勧めは、本記事でお伝えしている「15の書き方ガイド」のなかから、件名作成時に使用したアイデアをのぞく、他のアイデアを盛り込み、件名の内容を補足するように書くことです。
気を付けていただきたいのは、煽りたいからと、件名と、プリヘッダーを別者として書かないようにしてください。両者のつながりがみえず、意味が分断されていると、「中に何がかかれているか?」という期待を損ねてしまい、意味不明なものは忘れ去られ、開封されなくなります。
例1
件名 知ってますか?
プリヘッダー 登録者の半数以上がモバイルデバイスでメールをみています。
例2
件名 知ってますか?
プリヘッダー 図が見えない? ブラウザでここをクリックして!
15. 命令を出す
読者に何をすべき明確な指示を与えると、実際に読者が行動を起こしてくれやすくなります。
コツは、あまり高圧的にならないように指示することです。
例 「トナー代を無駄遣いするのは止めよう」
最後はテストだ
ここまでお伝えしてきた15のヒントをすべて忠実に実行したとしても、本当に、オーディエンスの共感を呼び、マーケティング成果があがるかどうかは、わかりません。
リストが5000以上ある場合は、A/Bテストを事前に行って検証することができます。
(Mailchimpのスタンダードプラン以上では、multivariate testingという名前の機能でA/Bテストが実施できます)。
対象者を一部とりだし、分割して 2 つの異なる件名でテストします。
テストする時のポイントは、件名のテストをするときは、他の要素、たとえば、プリヘッダーや、本文、メール送信元情報は、同じにしておくことです。
一度に、1つの要素のみを変更します。複数要素を一度にテストすることはできません。
この記事を読んで、「メールの件名をおざなりにしてたな」などおもいあたるところがもしあれば、メールマーケティングの課題抽出と、戦略立案からまず取り組んでみましょう。
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