自分は、マーケティングにお金をかけすぎてるのか、それとも、逆にお金を掛けなさすぎなのか、わからないあなたに、その意思決定を助ける手法をご紹介します。
マーケティングがうまくいっているのか、うまくいってないのかを計ることができたら、Facebook広告やYouTube広告もうまく使うことができます。また、どこまで外注でお願いできるのかの線引きもできます。なんとなく、仕事を内製化してしまっていることを洗い出し、本業に集中したほうがいいこともありますよね。
この記事は、すでにリストが構築され、コンテンツやモノを販売開始して1年以上たっている事業のマーケティング担当者向けです。
顧客生涯価値がなぜ大事か
顧客生涯価値は、ライフタイムバリュー(LTV)と言われます。
なぜマーケティングで、顧客生涯価値の数字がそれほど重要なのでしょうか?
理由は、マーケティング費用を測定するための重要な数値だからです。
つまり、顧客生涯価値によって、目標とする顧客獲得コストを決定することができるのです。
一人の顧客を獲得するために費やすべき金額が、明確になります。
つまり、この顧客生涯価値の数字がなければ、マーケティングがうまくいっているかどうか、わからないままなのです。
利益が上がっていても、マーケティングキャンペーンにお金をかけすぎているかもしれませんし、逆にお金をかけなさすぎなのかもしれません。
作成手順
1.期間を決める
通常は、1年でみます。
もちろん、半期か、4半期ごとか、まず、対象とする期間は任意で設定できます。
2.有料購入者数をみる
顧客生涯価値を計算するためには、まず、商品(サービス)を有料で購入したことがある人を抽出します。
メールリストのオーディエンスのなかでいうと、まだ注文していない人を除いた人数です。
3.平均注文額をみる
つぎに、有料購入者の、平均注文額を見ます。
これは、誰かがあなたのECサイトで決済するときの、平均的な決済金額をみます。
計算するには、総売上金額をまず確認します。
わたしは、TeachableとClickfunnelsで販売したすべてのオンラインコースの総売上金額をStripeの管理画面で、該当期間の総売上金額を確認することができます。
次に、のべ受注数を確認します。
これは、のべ決済回数で確認することができます。
Stripeの管理画面から、売上に関する数値のエクスポート機能で、データをダウンロードしたあと、行数を数えたら、決済回数がでます。
ここで出た2つの数値で、つぎのような計算式を立てます。
総売上金額 ÷ 注文数 = 平均注文額
4、平均購買頻度
これは、一定期間(通常は1年)に顧客が実行する平均購買件数です。
すでに、受注件数を確認してますよね。
有料で購入した顧客の合計人数も確認しましたね。
この数値をつかって、購入頻度を求めます。
計算方法はつぎのとおり。
受注件数 ÷ 有料顧客の合計人数 = 購入頻度
例: 1カ月間のデータから、受注件数274を、顧客人数203で割ったところ、約1.34という数字が出ました。つまり、この場合、顧客は、この月に、一人約1回しか購入しなかったということになります。
5.平均継続期間
さて最後の項目の平均継続期間の求め方です。
まだ事業継続年数が短い場合も、この簡単な算出がつかえます。
前月末の顧客数 ÷ 当月の解約数 = 解約率
1 ÷ 解約率 =継続率
例:前月の顧客数が1,000、解約数50であれば、解約率は50÷1,000で5%です。
そして継続期間は 1÷5% で20ヶ月ということになります。
LTVの代表的な計算式
さあ、必要な数字をここまでそろえてきました。顧客生涯価値を計算してみましょう。
LTVの代表的な計算式を3つご紹介します。
①平均顧客単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間
たとえば、顧客一人当たりの平均購買単価が30,000円で、購買頻度が年4回、そして、平均継続期間が15年だった場合を例にして見ていきましょう。
この場合【30,000円×4回×15年=1,800,000円】がLTVです。
平均継続期間を割り出すのが困難な時は、例えば1年で10%が離脱する場合ですと、10年として計算しましょう。
②顧客の年間取引額 × 収益率 × 顧客の継続年数
たとえば、ある企業に対しての年間取引額が50万円で、収益率が70%、継続して3年の取引があった場合を例にすると、このケースでは【50万円×0.7×3年=105万円】がLTVです。
③(平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間) - (新規獲得費用+顧客維持費用)
たとえば、平均購買単価が100,000円で、購買頻度が年1回、平均継続期間が3年、新規獲得費用が8000円で、顧客維持費用が2000円なら【(100,000円×1回×3年)-(8000円+2000円)=290,000万円】がLTVです。
生涯顧客価値は、時間が経てば上がるかもしれないし、下がるかもしれません。
ひとまず、ここでみているのは、現時点での顧客生涯価値です。
顧客生涯価値をどう使うか?
顧客生涯価値(LTV)の数字は、どのように使うか、例を挙げてみましょう。
広告での、投下金額や、コストの検証に利用します。
例えば、粗利率が50%で、顧客生涯価値が500,000円だとします。
そうすると、顧客獲得コストは明らかに250,000円未満でなければなりません。
これが純顧客生涯価値です。
つまり、これが個々の顧客の総支出に対する平均的な粗利益率になります。
しかし、実際には、顧客獲得コストは、それ以下でなければなりません。
他にも多くのコスト要素があるからです。
デザイン制作や、メールマーケティングの専任担当者がいるなら、その給与分は、顧客獲得コストに反映させなければなりません。
では、よい顧客獲得コストの目安はどのあたりにあるのか、気になりますね。
経験から言うと、生涯価値と顧客獲得の比率は3対1が理想的です。
つまり、顧客1人あたりの粗利が、顧客獲得コストの3倍以上であることが理想です。
もし、この比率が1対1に近い場合は、マーケティングにお金をかけすぎていることになります。
長期的には損をすることになります。
もし、この比率が、顧客一人あたりの粗利と獲得コストが、5対1であれば、マーケティング費用が少なすぎることになります。
たとえば、顧客生涯価値が、約82万円とします。
粗利率は約55%。
このとき、82万円のうち45万円が顧客からの利益、つまり純利益額となります。
ですから、顧客獲得コストは15万円以下であるべきです。
この数字の使い方を知って、個々の広告キャンペーンに適用できるようにすることで、実施しているFacebookキャンペーンなどが収益に貢献しているかどうかを確認することができます。
キャンペーンが目標顧客獲得コスト以下に収まっているかどうかを確認することができますから。
また、全社的なマーケティング費用、つまり総売上に比して全マーケティングに費やしている費用を確認することもできます。
いずれにせよ、マーケティング予算全体や部分の最適化をみるために、顧客生涯価値、顧客獲得単価、顧客獲得コストに注目することが重要というご案内です
これがわかれば、意思決定も適切にできます。
広告会社の計算にまかせてはいけない
これは、あなたのビジネスのために考えなければならない、ビジネスの中核をなす数値です。
過去お会いした経営者のなかには、広告費の多寡を判断するのに、「今月払えるキャッシュがあるかどうか」で判断する人もいました。
また、ポータルサイト出稿のプランを検討する際に、ポータルサイト運営会社の担当者が計算する計算式だけで判断する経営者も多いのではないでしょうか。
わたしが、ふと、これはおかしいとおもったのは、「リピート顧客も含めた売上金額が、出稿金額より上回っていて、良好に働いている」ことを示す数値をレポートとして提出されたときです。
あなたも、くれぐれも、新規顧客獲得コストでコスパを判断しましょう。
広告媒体として、どれに費用を投下するかについては、最近は、計算しやすいし出稿の手間も比較的少ない、インターネット上の広告や媒体利用が優先的に検討される場合が多いです。
でも、もし、地域密着で運営されている場合は、リアルでの紙媒体の広告も、ぜひ、検討にいれてみてください。
顧客生涯価値は、かなり高くなりますので、トータルでみて損にはなりません。
適切なマーケティング費用をかけ、利益と成長をえたいですね。